神戸市より「茅葺民家の管理計画作成のための調査及び資料作成業務」の委託を受け、神戸市須磨区1件について、実測および民家の形式や歴史的な背景を調査し、歴史的、景観的な価値を評価し、将来にわたって保全活用していくべき建築であることを明らかにしました。
対象の茅葺民家については、周辺地区の歴史的な景観資源の一つとして、神戸市景観審議会を経て、「神戸市指定景観資源」(旧「神戸市景観形成重要建築物等」)に指定されるよう検討が進められています。
この茅葺民家は、トタンで覆われた茅葺屋根の主屋と小規模の草葺きの茅葺屋根を戴くはなれがあり、大小2つの茅葺屋根が並んでいる神戸市内でもほとんど見られない貴重な景観を呈しています。
神戸市には現在、約70~80棟の茅葺民家(草葺き)が残っていますが、年々その数は減少しています。本件はそのような状況のなかで、貴重な茅葺屋根を将来にわたって維持保全し、神戸の伝統的な農村景観の維持に貢献することがが期待されています。
草葺き屋根のはなれの小屋組みは叉首、母屋、垂木、竹木舞が丁寧に組まれています。
金蔵被覆された主屋の屋根は市内の茅葺屋根と比較しても大きく、高く聳えています。小屋裏空間も広大で叉首とオダチ組が併用された大空間となっています。
敷地を構成する石積みの擁壁も「神戸市景観資源」の対象です。現地で産出された自然石が丁寧に積まれた石垣のある風景は地域の貴重な景観資源として維持保全されることが期待されます。
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