宝塚市より「歴史的建築物にかかる管理計画等作成業務」の委託を受け、宝塚市雲雀丘地区に建つ近代住宅K家の調査および図面・評価書等の資料作成を行いました。
近代住宅が建ち並んだ当該地区に猪名野平野の町並みから大阪湾を一望することが出来る高台に位置し、斜面地の地形をそのまま活かすように自然石を用いた石積みが幾重にも巡らされ 、高中低木の豊かな植栽のある庭園の合間を縫うように設けられた石張りのスロープや石段が最上段に建つ当該住宅へのアプローチとなっています。
屋根には寄棟および切妻屋根が架かり、2階部分の外壁は板張り、基礎は褐色の石が張られ、外部に面した開口部は和風の引違い窓、洋風の格子入りの開き窓、玄関にはステンドグラスが嵌められ、シンプルな建物でありながら表情豊かな和洋折衷の近代住宅となっています。
今回、所有者へのヒアリングや文献等の調査によって、当該住宅は1930年(昭和5年)頃に建築されたと推定されました。
傾斜地に形成された庭園を含め、当該住宅地の当時の風情をそのまま現代に伝える貴重な景観資源であり、近代住宅様式を現代にまで伝えている住宅として、景観法に基づき、2024年4月1日、宝塚市景観重要建造物第5号に指定されました。
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