神戸市より「茅葺民家の管理計画作成のための調査及び資料作成業務」の委託を受けて、神戸市淡河町に建つ茅葺民家Y家住宅の実測および調査を行いました。
現所有者とのヒアリングやY家に残された資料により、茅葺主屋だけなく付属屋を含めて、Y家住宅が建築され現在に至るまでの歴史的な背景・経緯を調査し、歴史的・景観的な価値を評価し、将来にわたって保全活用していくべき建築であることを明らかにしました。
茅葺屋根の主屋の建築年代は特定できなかったものの、カミノマ・シモノマは古い民家形式を良く残した素朴な造りとなっており、また建築当初からの茅葺屋根も手入れをされながら、現在までその伝統的な姿が維持され続けています。
鉄板で覆われた茅葺民家が多い中で、茅葺屋根のY家住宅は周辺の緑豊かな風景と一体となって、神戸の伝統的な農村風景を伝え続ける貴重な民家であるため、国有形登録文化財や神戸市景観形成重要建築物等の指定も視野に入れながら、将来にわたって茅葺屋根を守り続けられるように、茅葺屋根の長期維持管理計画もあわせて作成しました。
Y家住宅は2020年9月1日、神戸市景観形成重要建築物等に指定されました。
茅葺職人と小屋裏からも茅葺屋根の劣化状況を確かめ、今後どのようなタイミングで差し茅や葺き替え工事を行っていくか、検討していきます。
葺き替えに必要な茅量を把握するために、茅葺屋根の大きさを測量します。
小屋裏には葺き替え工事に備えて刈り取られた茅がストックされています。
0コメント